【新聞掲載記事】原子力関連装置のヨシダ 新工場で生産能力倍に(日本経済新聞 平成30年9月20日)
設計・製造・搬出 工程一貫
他分野から受注狙う
原子力施設用設備の設計・製造などを手掛けるヨシダ(水戸市)は市内で新工場を稼働させた。大型設備を導入し、生産能力を従来の2倍に引き上げた。設計から組み立て、試験、搬出までを一貫して担える体制を整備。主力事業の原子力関係に加え、他の産業関連企業からの受注も目指す。
新工場の敷地面積は約1万4000平方メートル。旧工場の約3倍にあたる。高さ12メートル、重量30トンまで持ち上げられる大型クレーンなど、新たに導入した設備などを含め約15億円を投入した。引き続き稼働させる旧工場と合わせ、生産能力はこれまでの約2倍に拡大する。
同社は放射性物質を密閉した状態で取り扱うための「グローブボックス」など原子力関連の設備・装置に強みを持つ。新工場では同分野の設計や製造などを一層強化していくほか、他の一般産業分野にも事業の幅を広げていく計画だ。
例えば、バイオマスなど新エネルギー関連では、生産工程で使われる大型タンクなどを製造する。さらに、燃料自動車の普及を見据えてリチウム電池の製造も手掛けていくほか、医療関連機器などにも注力していく。既に県外のプラントメーカーや大手電機メーカーなどからの引き合いも出ているという。
設備の増設や敷地の拡大により、設計から搬出に至る全工程を一貫して担えるようになった。将来は完成品の搬出後の据え付けまで自社でまかなうことも視野に入れている。これまでは旧工場で扱える許容量が限られ「技術的には可能でも、受注を諦めざるを得ないケースがあった」(同社)。今後は受注量を大幅に増やせると見込む。
新工場内にはWi-Fi環境も整えた。整備の稼働率や生産管理工程をリアルタイムで把握し、従業員全体で共有することで生産効率を高める。
同社の売上高は年間6億~7億円。新工場の稼働で2割の売り上げ増を図る。当面は2011年の東日本大震災前に計上していた8億~9億円の水準にまで回復させたい考えだ。