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【新聞掲載記事】月内に新工場稼働(茨城新聞 平成30年9月13日)

原子力産業向けグローブボックス
大型製品の生産強化

金属加工のヨシダ(水戸市塩崎、吉田陽子社長)は9月下旬、同市内に新工場を稼働し、主力の原子力関連産業向けグローブボックスの生産体制を強化する。総重量5トンを超える大型製品の生産を伸ばし、受注の間口を広げる。創業100周年を迎える5年後には売上高を4割ほど引き上げ、東日本大震災前の水準まで回復を目指す。

同社は密閉空間内で放射性物質を管理作業するステンレス製グローブボックスを設計、製造してきた。原子力産業分野では、ボックス内に放射線測定装置やクレーン機器などの設置を必要とするケースも多く、大型製品の受注は課題だった。
このため、2016年以降、同市東部工業団地に隣接する民有地(同市六反田町)計1.4ヘクタールを段階的に取得。第2工場として新工場を建設し、今月下旬に本稼働させる。
向上の延べ床面積は約4千平方メートル。総投資額は16億円。同市の企業立地促進補助金を活用した。稼働に伴い、15人を新たに雇用した。
これまで同社は、総重量5トン、高さ6.75メートルの製品生産が限界だった。新工場では、新たな移動式クレーンの導入により、製品の総重量を30トン、高さを12メートルまで引き上げ、大型製品の受注に応える。
また、セル生産が中心だった本社工場に対し、新工場ではライン生産も取り入れ、リードタイムを3分の1に短縮。これにより、雰囲気制御技術を生かした研究機関向けのグローブボックス開発や核医学(RI)検査、放射線治療を中心とする医療機器など、新分野への参入も視野に入れる。
同社の米川周佑業務副本部長は「顧客ニーズに応える生産体制を築き、失注を抑える」と強調。新工場稼働により、震災に伴う福島第1原発事故の影響で落ち込んだ原子力分野の売り上げを、震災前の水準まで回復させる計画だ。
同社は船舶向けタービンや列車車両などの機械加工業として1923年に同市で創業。設計から製缶、機械加工、組み立ての一貫生産を強みに、61年には原子力分野に参入した。昨年度の売上高は約6億円。

(前島智仁)

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